2020年末、中判フィルム「ハッセルブラッド500C」を購入した理由

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Hasselblad

2020年12月27日、1年の締めくくりの最後のカメラギアとして、ハッセルブラッドの中判フィルムカメラを購入した。今回はライカユーザーである僕が、ライカではなくハッセルブラッドの、しかも中判フィルムの購入に至った理由を記そうと思う。

 

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なぜいまさら中判フィルムカメラなのか?

 

僕が中判フィルムに至った大きな理由は2つある。

① 一球入魂のはずが・・

 

本来一球入魂のフィルムのはずなのに、これが36枚撮れるとなると案外手軽にパシパシ撮れてしまう。しかしその一方で、枚数制限という呪縛が頭の隅をチラつき、”本当にどうでもいいもの”や、”ふいに訪れた咄嗟の瞬間”には、失敗を恐れてシャッターを切れない。

 

するとどうだろう。例えば旅行のようなシチュエーションで、思い出を残すカメラのはずが、一部始終が歯抜けになったような思い出ストーリーが出来上がってしまう。そうであるとしたら、はじめからデジカメで撮ればいいじゃん。という気持ちになり、デジタルライカとフィルムライカを一緒に持ち出しても、使うのはデジタルが主というもどかしい状況が続いてた。自分のなかで35mm判の立ち位置が、どこか中途半端というか、はっきり定まらずにいたのだ。

 

 

② 35mm判フィルム独特のノイズ感

 

粒子感がエモい、写りすぎないのが良い、昭和っぽいと言われ「写ルンです」が、にわかにブームとなっている。しかし、どうも僕は、35mm判フィルムで出てくるフィルムの粒子感というのが、そこまで好きではないようだ。思い出をしっかりと残したいはずなのに、フィルムの粒子がノイズのようになってそれを阻害してしまう。

 

Amazonで、コダックEktar100を10本入手したときのこと。世界最高粒度という触れ込みのEktar100に合わせるレンズは、ライカの現行にして最高ランクの「Summilux M50mm F1.4 ASPH.」。この組み合わせで京都旅に臨んだ。35mm判の最高級のコンビネーションに期待をよせていたのだけれども、いざ、現像ネガと写真を手にしても、どこか満足がいかなかった。

 

これが35mm判の解像度の限界か。

 

この2つが大きな理由である。フィルム全盛時代も本格的なファッションや広告写真は中判フィルムであるし、交通広告や看板などはいまだに大判フィルムが使われることもある。35mm判の約2.7〜4.4倍相当ともいわれるサイズで、得られる画質の高さと、運用できる携帯性とを両立したのが中判フィルム

フィルム写真を語る上では、中判フィルム、大判フィルムを知らないのはいかがなものか。自分自身で経験することを通じて、35mm判フィルムが相対化され、魅力に改めて気づくこともあるんじゃないか、そんなことを思いながら、自分の興味はますます中判フィルムになっていった。

 

 

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持ち運べるカメラとして、ベストチョイス。中判フォーマット

 

そんな思いの中、たまたまYouTubeで出会ったこの動画。

 

ロケ場所が、壮大で素敵なのはもちろんなのだが、写真1枚1枚に思いを込めてシャッターレリーズを押すこの感じ・・。撮影場所を定めて、三脚を立て、露出を図って、シャッターを切る。写真撮影の一連の動作が、とてもかっこいい。これぞ正真正銘の「一球入魂」。

 

アンリ・カルティエ・ブレッソンが、絞りF8、シャッター速度1/125、無限遠に合焦したライカM3で、決定的瞬間をスナップしていたのと、対極ともいうべきスタイル(ブレッソンがかっこいいのは言うまでもないが)。

この動画で描かれているひとつひとつの動作にロマンを感じてしまったのだ。いまの自分のニーズに対する解になるのが、この動画で用いられていたハッセルブラッドなのではないだろうか。こうして購入が、一気に現実味を帯びていくのである。

 

【レビュー】ハッセルブラッド 500Cを愛でる
ライカに比べて、ハッセルブラッドのことを語るネットの記事や、ムック本は少ない。ハッセルブラッドの歴史は、1941年スウェーデンのヴィクター・ハッセルブラッドによって生み出された「HK-7」というカメラから始まった。その後、ヴィクターは1600F

 

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その後、悩んだハッセルか。ローライか。

 

動画に心動かされつつも、中判フォーマットの候補は2つ挙がることになる。「ハッセルブラッド」と「ローライフレックス」だ。

 

中判フィルムの王様といわれる一眼のハッセルブラッドか。それよりも古い時代に一時代を築いた二眼のローライフレックスか。

 

ハッセルブラッドは、スウェーデン製(ただし、レンズはカールツァイス製でドイツ製となる)。2000年頃まで、ファッションや広告写真などの商業カメラの一線でも使われたというハッセルブラッド。このカメラは1962年NASAから打ち上げられたロケット(マーキュリーロケット)で、初めて宇宙から地球を撮影したことでも有名。さらに、アポロで月にも行ったというエピソード込みでロマンを感じる。

 

一方の、ローライフレックスはライカと同じ西ドイツ製。二眼フィルムカメラの原点にして頂点。その独特の佇まいからインテリアとしても人気の高い機種。

 

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構え方について

 

また、首から下げた貫禄と、構えたときのスタイルも大事なポイント。

 

↓ハッセルブラッド

出典:HASSELBLAD 500 C/M FILM CAMERA REVIEW BY JAMES BATURIN

 

↓ローライフレックス

出典:Rolleiflex™ Instant Kamera

 

個人的には、覗き込んでいる姿は、前者ハッセルブラッドのほうが好みだった。

 

ただし、ハッセルブラッドの場合、街撮りスナップでファインダーを覗き込んでウロウロしていると「ビデオカメラの盗撮に間違えられる可能性がある」なんてネットでの記事も。確かにハッセルブラッドを知らない他人から見たらビデオカメラにも見えるな、と納得した。これから手にされる方はお気を付けを。

二眼のローライフレックスならその誤解はまだ緩和される・・はず。

 

 

その他の中判フィルムカメラ候補

 

ここから更に、二眼フィルムの選択肢として、廉価版のローライコードや、往年の写真家が愛した日本製の「ミノルタオートコード」「RICOHFLEX」「マミヤC330」 まで検討の幅を広げることになる。二眼フィルムカメラだが、ローライフレックスと比べて価格は非常に安価。2万円出せばそこそこのものが購入できるのは魅力的。そもそも、中判フィルムならローライフレックスかハッセルブラッド。なんて思っていたけれど、中判カメラにハマらない可能性だってある。それを思うと安価な中判カメラは、堅実的な選択肢なのである。

 

また、中判フィルムのフォーマットも6×6の正方形だけでなく、6×7の「プラウベルマミヤ」や、6×9のフジフィルム「GW690Ⅲ」なども候補として見てみた。そうなってくると、4×5(シノゴ)、エイトバイテン・・と選択肢を拡大するとどんどん沼へ。

 

一時はこのようなという感じで迷子になったが、ここで思いがけず事態が一気に進展する。

 

 

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新宿での出会い。そして、購入

 

いろいろ迷ったわけだが、もともとの興味の起点はハッセルブラッド。「状態のいいハッセルブラッド出てないかな」→「ほかの中判も状態がいいやつがあればついでに調べよう」これが自分のネット検索の順序になっていたのである。

 

こうなってくると時間の問題。半年以内のうちに、、と思ってた矢先、新宿の某中古カメラショップで、状態が安定していて、かつ値段が安価なものに巡り合ってしまったのである。それがこのHasselblad 500C +Planar 80mmF2.8の標準レンズセット。

 

いや、ここまでくると必然的に、運命をこじ開けに行ったというべきか・・汗 その場で即決はせずに、一晩よく考えて、そして購入。

 

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日常を切り撮るライカ。ここぞを写すハッセルブラッド

 

自分のなかでは、そう決めている。入手したばかりなので、今後方針が変わっていく可能性も往々にしてあるものの、現時点ではこのような運用方針でいこうと決めている。

 

なぜならば、自分のなかでの主軸は、やはりライカ。デジタルのLeica M10-Pがメインカメラである。なんと言ってもそのコンパクトさと、物質としての完成度の高さ。そして得られる描写の高さに惚れている。Twitterでも言ったとおり、コンビニ行くときでさえ持ち歩いていからこそ、日常で訪れる ふとした決定的瞬間にも立ち会うことができるカメラ、それがライカなのである。

 

ハッセルブラッド 500Cは、残念ながら日常スナップには不向き。これは1.5kgという重量感と、肉太なサイズ感、フィルムの価格によるランニングコストによるところが大きい。対照的に「ここぞ」を撮りに行くシチュエーションにおいては、この上ない選択肢となる。一枚一枚構図をしっかりと決め、呼吸を整えて、一球入魂のシャッターを切る。写真というものに向き合う時間が心地よい。YouTubeを見て思い描いた世界そのもの。本当に美しい景色や、本当に残しておきたいと心を動かされた瞬間を残すカメラ。それがハッセルブラッドである。

 

 

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まとめ

 

いかがだっただろうか。これが僕がハッセルブラッドを購入した理由である。物質としてのライカにずっと惚れていたが、本当の意味で「写真」に向き合う時間をくれるカメラだ。それは記録や記憶のための写真というよりもむしろ、写真という文化や芸術に触れる、そんな気分に近いかもしれない。

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