このところLeica M9を多用しています。
思い切って売却し、Leica Q2や、LeicaSL2-Sの資金源にしようか。なんて悩んでいた時期もあったのですが、一周回ってやっぱり魅力的な機種であると、改めて感じている今日この頃です。
「コダックCCD搭載のフルサイズ機」という唯一性で、人気が衰えない、むしろ価格が下落しないのがこのLeica M9です。そんなM9も発売から11年。11年の技術の進歩はすごいけれど、まだまだ現役で使えるデジタルカメラです。
今回は、最近ヘビーユースして改めて感じた、Leica M9の魅力・良さをお伝えしていこうと思います。
M9熱を上げてくれるインスタグラムの投稿
まず、こちらの投稿から。
コブクロの黒田さんのLeica M9に関するインスタグラム投稿。コブクロの黒田さんと言えば、芸能界でも指折りのライカユーザーとしても有名なんです。

その投稿内容は、ライカM9→ライカM(typ240)→ライカM10と使ってきて、ライカM9に戻ってきた・・という趣旨のもの。
過去に色々な機種をお試しになられた経験から、最終的にCCD発色のLeica M9に行き着いたという内容に、気持ちが昂るのは僕だけでしょうか?いや、そんなことはないはず。
写真を見るにおそらくLeica M9ベースのM-Eという機種だと思いますが、沈胴Summicron 50mm F2.0とM-Eの組み合わせが、ん~、なんともかっこいい。
この投稿を見た後、早速M9を使いたくなって、街撮りスナップへGO。
Leica M9での街撮りスナップしてきた。その感想。




使ってみての率直な感想は、「色味があざやか」「使っていて楽しいな」
”デジタル”カメラになってしまったLeica M typ240以降の機種と異なり、CCDセンサーから再現される画は、そしてその使い心地は、フィルムカメラライクな「写真機」としての魅力が溢れています。まさに、一連の「写真」という行為そのものと向き合うことに適したカメラであるといえます。
一方で、課題も。
これは、どうしても仕方ないことですが、最新機種のLeica M10に慣れてしまっていると、使いづらさを感じる場面もしばしば。
例えばバッテリー。1日は持ちません。数時間で残量切れになるため、2個以上持ちはほぼほぼ必須。しかも残量表示も50%程度から、いきなり0%になることも。この残量表示は、おおむねの目安と割り切るしかありません。バッテリー劣化が原因でしょうか。壊れた!?とヒヤッとするくらい、突然動かなくなったりします・・笑
そして、連写も苦手。
Leica M10を使っている感覚でリズミカルにシャッターを切っていると、メモリーカード詰まりで数秒程度フリーズ。その間にシャッターチャンスを逃してしまう・・なんてことも頻発。しかも、これが厄介なことに、なかなか復帰してくれないのです。1枚撮ってはフリーズ、1枚撮ってフリーズを繰り返し。
対策は電源を切るか、しばらくシャッターを切らないことしかありません。
このように、決して万人におすすめすることができないが、魅力にあふれて根強いファンがいるのが2009年生まれのLeica M9なのです。
しかしながら、そんなメンドクサイ機種だからこそ、愛着が生まれるということ。
実際にLeica M9のみ毎日使ってみて、コイツを使うために必要な心構えを、4つの視点でまとめてみました。
Leica M9を使う上での4つの心構え

1、電池が続かない
まず一番のボトルネック。電池が続かないのならば、電池交換を楽しむ、という発想の転換をすれば良いのではないでしょうか。
36枚で交換する必要がある、フィルムのように。予備のバッテリーは2〜3個必要となりますが、出先で裏蓋を外して、バッテリーを引き抜き、交換する。一連の動作は、フィルムを詰めるのと同じ感覚として楽しめます。
心構え1
M9を使う際は、フィルム交換(電池交換)を楽しもう。
2、連写できない
先に挙げた頻出するバッファ詰まり。
数枚連射していると陥るのですが、これもデメリットです。
これは最新のデジタルカメラを使っていると、連写した中から良いものを、「選定」することが当たり前になっていますが、1枚に入魂してシャッターを押すことが、Leica M9には求められます。
「選定」ではなく、一瞬のシャッターチャンスを「狙う」という撮影スタイル。
心構え2
M9を使う際は、フィルム時代の感覚で、魂を込めよう。
3、大きいシャッター音(シャッターチャージ音)
Leica M3の時代から静かなシャッター音がライカのウリ。Leica M10-P以降、静かなシャッター音が戻ってきていますが、Leica M9を含む初期のデジタルライカは、けたたましいシャッター音で嫌煙される方も多いと思います。
たしかにスナップ撮影では静かなシャッター音が良い場面もありますが、大きなシャッター音はむしろ撮影のリズムが上がるといえるんじゃないでしょうか。
どうしても気になる場合は、分離シャッターをONにすれば、ジーという巻き上げだけ、遅らせることができますし、何より正々堂々と写真を撮っています、という周りへのアピールになります。そして、だんだん気分が乗ってくる感覚を味わえるはずです。
心構え3
M9を使う際は、シャッター音で、気分を上げよう。
4、常用ISO感度640
最後は、ISO。
ISO 640~800が上限だと感じていますが、ISO 800以上になってくると粒子感のザラつきが、そこそこ目立つようになります。
フィルムのようなザラつきで、いやらしくないのですが、僕の設定は上限ISO 640と決めています。
屋内や夕方以降の撮影に使うには、F1.4以上の明るいレンズか、三脚。あるいは手ブレしない強靭な筋肉が必要になります。
人によっては1/15秒程度まで止められるともいいますが、果たして・・。そんなことするんじゃなくて、暗くなったら家に帰ればいいのです。夜の街をカメラ片手に徘徊するよりも、朝日を撮りに早起きする方が、健康にも精神衛生上も良いはずです。
心構え4
M9を使う際は、潔く、暗くなったら帰ろう。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか。
2021年時点で、Leica M9の魅力を考えてみました。
デメリットも多い機種ではありますが、それも使い方と気持ち次第。
ネガティブを乗り越え、使いこなしてこそ得られるCCDセンサーのベタっとした描写は、現行ライカとも異なる独特な作品を生み出してくれることでしょう。CMOSセンサーが画像なら、CCDセンサーはどこかフィルム写真っぽい様相を残しています。
それだけではなく、呼吸や構図の見定め方も含めて、「写真」を撮る行為そのものと向き合わせてくれる。そんな気分にさせてくれるから不思議です。ライカ唯一のデジタル写真機がM9と言えましょう。
状態の良い個体が減ってきた昨今、手に入れるには最後のチャンスなのではないでしょうか。
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