まずは、Summilux M50mm F1.4 ASPH.から
ズミルックスの絞り開放 F1.4
▲開放だと、右肩、シールドまでボケています。後述するApo-Summicron M50mm F2.0より明らかにふわふわやわらかい描写です。うーん、美しいボケです。
背後にあるレモンサワーの素は識別できません。周辺減光も見られます。
ズミルックス絞りF8
▲F8まで絞ると、レモンサワーもシルエットが見えてきました。
続いて本命。Apo-Summicron M50mm F2.0
アポズミクロン 開放 F2.0
▲開放からシャープです。
ボケ味はいかがでしょうか。ズミルックスよりも解像度が高いように見えます。
そして、ズミルックス同様、とてもきれいなボケ具合です。周辺減光は見られます。
アポズミクロンもF8まで絞ると、とてもシャープ
▲ガンダムはとてもシャープですが、背景にあるレモンサワーもくっきりしている気がします。
続いて、拡大して詳細部分をチェックしていきます
F2.0の描画比較
絞り値F2.0のズミルックスと、アポズミクロンの比較です。
ズミルックスは絞り開放F1.4なので、F2.0ですと1段絞った状態です。アポズミクロンは絞り開放のF2.0です。ガンダムの頭部にぐっと拡大していくと、繊細さが違うことが見えてきました。特に、アンテナ(角)のシャープさが全然違います。
さらに拡大してみると、違いは明らかです。
ホワイトバランスと光源のケルビンは共通なので、アポズミクロンのほうが寒色よりです。現実に近いのはどちらかというと、アポズミクロンに軍配が上がります。
引きのショットはこちら。
同じF値ですが、ズミルックスのほうが背後のレモンサワーの素がボケてます。アポズミクロンのほうが手前のガンダム、奥のレモンサワーどちらも明るく・はっきり見えますね。そして、周辺減光もよりはっきり出ています。
この両者のレンズの思想の違いが見えてきた感じです。ズミルックスはボケ味で見せる。アポズミクロンは、中心部のシャープさと周辺減光で魅せる。アプローチ方法は異なるものの、味付けの違いで、主役を引き立てているように見えます。
続いて、F2.8以降を比較
いかがでしょうか。
絞り値F8まで絞ると、ボケ味による両者の違いはほとんど見られなくなりました。
ですがなんとなく、アポズミクロンのほうが、彩度高めのように見えます。
白は白く。黒は黒く。脇の下あたりの階調グラデーションはなだらかに見えます。また、シールド部などエッジの光り方が、キリッと締まって見えないでしょうか。
つまり、被写体をはっきり・くっきり撮りたい場合は、アポズミクロンが実力を発揮しそうです。一方で、ズミルックスは、女性ポートレートでは柔らかい描写にて威力を発揮しそうです。
やはり、アポズミクロンは写実的、ズミルックスは絵画的、ということなんでしょうね。
まとめ
どちらがいい、ということはない。
被写体で使い分けるのが正解。
なんとも、まとまらない「まとめ」になってしまいましたが、両者の描写は完全に好みだといえます。また、2倍の予算を投じてまで違いが見られるかというと、それも個々人のご判断になろうかと思います。
ズミルックスのほうが劣っているということはなく、十分にズミルックスも良い描写をしてくれます。
こうして比較してみて、私はこの2本のレンズを所有することに価値を感じましたので、しばらくは併用するような形でいこうと思います。
最後にF1.4とF2.0の開放同士の拡大。開放を前提に設計されているライカレンズということで、レンズ思想が異なることが、さらにお分かりいただけるのではないでしょうか。
次回、Apo-Summicron M50mm F2.0を使って、M10-Rと、Leica SLの描写比較をお届けしようと思います。
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