デジタルライカから生み出されるJPEGの画作りを検証する本シリーズ。
デジタルではセンサーがフィルムです。ボディに搭載されたセンサーがそのまま味になります。
デジタルライカの描写検証
第5回目の今回は外に出て、近景を撮影してみました。最近ではなかなかLeica M8を使っているひとも見なくなってきましたので、Leica M10-R、Leica M9、Leica SLの3機種の比較にてお送りしたいと思います(持ち出すのが重かったのです。お許しください)
撮影においてはのルールです。
条件を均質化するために、レンズは公平を期すために「Apo-Summicron M50mm F2.0」を使用しています。同一条件下(同日・同時刻)で撮影をしています。
カメラボディ側の設定はこちらです。
- カメラ内 JPEG撮って出し(RAW無し)
- lightroom現像は、コピーライト挿入のみ
- レンズ Apo-Summicron M50mm F2.0
- 絞りF値 F4
- ISO 200(旧機種は設定に無い場合ISO 160)
- シャッタースピード 1/500
- 手持ち撮影
- 撮影距離 約5メートル
- ホワイトバランス AUTO
- 露出補正 ±0
このような設定です。
今回の被写体は、フェンスと竹林
さて、今回の被写体は、空き地などでよく見かけるフェンスと竹林です。どこにでもある被写体を選びました。

どちらも緑色ですが、フェンスは発色に特徴がでそうですね。
自然光ですが、本日の天気は、曇天です。
ちなみに蛇足ですが、コレ。正式名称は「Vネットフェンス5型」という商品名で、色はライトグリーンということです。

それでは、いよいよ検証スタートです。まずは、Leica M10-Rです。
Leica M10-R

こちらがLeica M10-Rの描写です。とても素直です。暗部のグラデーションが最も美しくでました。4000万画素のCMOSセンサーと「LEICA MAESTRO II(ライカ・マエストロ・ツー)」の画作りは見事です。さすが先端の機種というべき。
前回までの検証では、Leica M10-Rと、Leica SLには大きな違いが見えづらい結果でしたが、今回は明確に差がでました。
続いてLeica SLです。
Leica SL

こちらがLeica SLです。2015年リリースの機種ですが、2400万画素のCMOSセンサーと、画像処理エンジン「LEICA MAESTRO II」を搭載。同じ画層処理エンジンのはずですが、画作りが若干違います。
まず、竹林の暗部ですが、コントラストが強めです。黒と葉っぱのグラデーションが、Leica M10-Rほど階調豊かでは無く、はっきりとしています。竹林の木々の細かい表現は、Leica M10-Rに軍配があがります。
さらに、手前のフェンスを見てみると、ややハイライトが高く、白色を強く感じます。白飛びしているような印象を受けます。
彩度薄めであっさり、淡白な写真となりました。
Leica M9

ラストはLeica M9です。更にコントラストがはっきりとでました。竹林の密度感が凄まじいです。
繊細な描写というより、線の太い、力強い描写を写真全体から感じ取ることができます。1800万画素のコダック製CCDセンサーが映し出す、はっきりくっきりとした独特の描写です。
色合いはどうでしょう。彩度が3機種中もっとも高く、青々としていますね。フェンスの網々も一つひとつの輪郭がはっきりしています。
そして、茶色の枯れ葉ですら、カラフルに見えてきます。なんだか生命力に溢れた写真になっています。
検証結果まとめ
今回の結果をまとめると、このようになります。
- Leica M10-R: 暗部の階調がなめらか。豊かで繊細な表現。色合いも落ち着いており美しい
- Leica SL: コントラストが高め。彩度が薄く、あっさり淡白な仕上がり
- Leica M9: 彩度が高く、カラフルに。力強い。
ライカの機種ごとの特徴がよく分かる結果となりました。
安定感が必要な場面でしたら、Leica M10-RやLeica SLですし、強烈な個性を出すのでしたらLeica M9がよいですね。
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