ライカのレンズのなかで、ひときわ輝く憧れのレンズ「ズミルックス」。名前の由来は、ラテン語のSumma「最高のもの/至上のもの」と、Lux「光」を組み合わせた造語であるが、今回は貴婦人ルックスを手に入れたということもあり、ズミルックスというレンズについて、その歴史に迫っていこうと思う。
Leica ズミルックス50mm レンズの歴史

今回僕が手に入れたのは、初代ズミルックス50mm 貴婦人でも「後期型」とされるタイプ。詳細は後述するが、この後期型は「2nd」 とも分類できる。気になってオールドレンズを扱うお店の人に聞いたところ、鏡胴がシルバーのものは、すべて貴婦人と呼んでいるということで、このサイトでは、前期型と後期型をどちらもズミルックス貴婦人と呼ぶことで統一したいと思う。
中古価格は、2020年現在で20〜30万円前半という感じ。以前は後期型が人気だったが、近年前期型の値段が高い印象がある。
初代ズミルックス50mm 貴婦人の前期型は、全身となるクセノン、ズマリットF1.5を改良した大口径標準レンズとして、今から60年前の1959年に生産が始まった。しかし、このズミルックス50mm貴婦人の前期型はわずか2年間という短い期間での製造のみで、本数も12000本程度で廃盤となった。前期型の最初期型として鏡胴のギザギザが谷側ではなく山側にある「逆ローレット」というモデルも存在し、中古市場ではレアモデルとして取引されている。
次に、1961年よりシルバーの鏡胴の美しさはほぼそのままに、逆光耐性が向上し、貼り合わされていた2群目に「空気レンズ」構造を採用した「後期型」が発売された。今回手に入れたのが、この後期型である。
貴婦人の外見上の違いは、前期型に比べ後期型はレンズ全長が2mm短くなり、重量も325gから約300gへと軽量化されてたことだ。中古ショップで見分ける際のシリアルナンバーは、1640601(?)〜1840000が前期型で、1844001〜が後期型。描写性能では、前期型がまさにオールドレンズという滲みレンズであるのに対し、後期型の描写はオールドレンズとは思えない鮮明な写りをする。これについては描写テストは別記事でも書こうと思う。
そして、ブラック鏡胴へ
その後、いくつかのズミルックス50mmが発売されることになるが、全部で4世代に分類できる。まず、上述した初代のズミルックス貴婦人。
次に、1969〜1991年には、構造が同じで外観が黒色鏡胴のブラッククロームになったズミルックス50mm 2nd。1992〜2004年、外観デザインがフード組み込み式に変更され、最短撮影距離が70cmになった3rd。そして、2004年に非球面レンズが採用され、6bitコードが付いた現行Summilux 50mm F1.4 ASPH.が発売され、現代に至っている。
つまりまとめると、基本構造が1961~2004年まで同じ設計で、43年にも渡り製造されたロングセラーなのがこのズミルックス50mmだ。いかにこのズミルックス貴婦人の後期型の完成度が高かったということだ。
Leitz ズミルックス 50mm f1.4 貴婦人(前期型・後期型)の仕様
- F値 1.4〜16(調整8段階)
- レンズ構成 ガウスタイプ 5群7枚
- 絞り羽根 前期型16枚、後期型12枚
- マウント Mマウント(一部 スクリューマウントが存在)
- 焦点距離: 単焦点 50mm
- 最短撮影距離 1メートル
- 重量 初期型325g、後期型300g
- フィルター径 Φ43mm
- レンズフード XOOIM 12521 (※)

ただしフードを付ける場合は、専用の極薄レンズフィルターを取り付ける必要あり。既製品だと干渉し装着できないので注意。下記、喜久屋カメラさんで取り扱いのあるレンズフィルターが干渉なく利用できると思われるが、筆者未検証ということでご自身の責任でのご判断でお願いします。
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