今更だが、Leica X1のレビューを書こうと思う。
実はLeica X1は2010年の2月発売。10年の誕生日を先日迎えたばかりなのだ。
僕はもっぱらM型ライカのファインダーが好きなのだが、このLeica X1だけは別もの。超軽量のボディと大きさで、コートのポケットに忍ばせて、気軽に持ち運びできるのがこの機種の魅力だと思う。
そう、こんな小さいボディにも関わらず搭載しているのはAPS−Cセンサーなので、時にM型もびっくりするような画が撮れることがある。いくつかの作例とともに、Leica X1をレビューしていこうと思う。
Leica X1とは?
Leica X1とは、2010年の2月20日に発売したコンパクトデジタルカメラ。
コンパクトボディにも関わらず、APS-Cサイズ相当の有効1,220万画素CMOSセンサーを搭載したスペックを誇る。
1,220万画素というと、2020年現在のデジカメのスペックからすると物足りないと思われるかもしれないが、M10やM9を持ち歩く僕にとって、そのサブ機として運用することもよくある。サブ機としてももちろん、カバンやコートに入ってしまうため、仕事や出張のときのメインカメラになったり、ちょっとした街歩きでの普段遣いの気軽さとしては、M型ライカよりもアドバンテージがある。
搭載しているレンズは35mm判換算で焦点距離35mmの単焦点F2.8。レンズはエルマリートを搭載している。
そう、いわずもがなライカのレンズである。これが単純なスペック表では測れない、驚異的な描写を見せることがある。
やはり、スマートフォンで撮る写真とは、まだまだ差があると(個人的には)感じる。
100年の時を越えて、現代に蘇ったバルナック
バルナックライカをオマージュしており、形状はバルナックに近い。
バルナックといえばM型以前のモデルにしてライカの原点。現代のカメラの35mm判を形作ったともいえるオスカー・バルナックの発明である。
このバルナックと厚みが一緒なんだとか。
軍艦部のボタンの配置などもこだわっているようで、まさに100年の時を越えて現代に蘇ったバルナックともいえる。こうした歴史的背景があるのもライカの魅力。
バルナックについて詳しく知りたい方は、こちらの公式動画もチェック。英語だが雰囲気は味わっていただけると思う。
Leica X1購入のきっかけ
そんなLeica X1だが、僕の購入のきっかけは、セイケトミオ先生のブログ。
セイケ氏といえば、M8使いとしてその界隈では有名人なのだが、実はLeica X2をサブ機として使われていた。このX1の次モデルにあたる機種だが、M型ライカを持ち出さないときには、このXシリーズをポケットに入れて持ち歩いていたのだとか。
ちなみに当該のセイケトミオ氏のブログは、惜しまれつつクローズしてしまっており、いまでは記事も写真も見ることができない。
Leica X1のすばらしいポイント
まず魅力ポイントは、その軽さと、そして軽さからは想像できない描写力であろう。
描写力でも特にLeica X1の魅力として定評高いのが、JPEG撮って出しのモノクロ写真である。
ハイコントラスト・モノクロモードによるモノクロ写真
ハイコントラスト・モノクロモードで撮影したモノクロ写真がすさまじい描写力を見せる。
これらは、ハイコントラストモードで撮影し、すべてJPEG撮って出しである。
うーん、驚異的じゃないか。
ライカで接写できる
そして、もう一つ。これはM型ライカにはないポイントとして、「接写」である。
M型ライカの最短撮影距離が70cmなのに対して、Leica X1はなんと30cmまで寄ることができる。これはテーブルフォトなどのを撮る際に、非常に重宝する。
もちろん最新のQシリーズなら、10cmのマクロ撮影もできるが、あちらは中古でも30万以上する。
Leica X1の残念なポイント
そんなLeica X1だが、弱点ももちろんある。
経年劣化によるものあるが、その代表的なものを紹介していこう。
10年経って、ボタンなどが誤作動する。
最近、すごく感じるのだが、ロールボタンが誤作動したりする。やはり、基盤を使用している以上、これがデジタルの限界なのだろうか。Leica X1を楽しめるのもあと少しなんだと感じる。
JEPGだと、緑がぶっとぶ
俗にいう緑問題。
ハイコントラストモノクロモードを中心に撮影すれば問題ないのだが、カラー写真を主に使うと想定する場合、植物などを撮ると、緑が盛大にぶっとぶことがある。
実際はもっと落ち着いた色味だった。JPEG撮って出し。
ライカ特有の奥行き感とボケ感を得られにくい
これはもう、Leica X1というか、APS-Cセンサーとレンズの構造の限界かもしれないが、ライカの特徴ともいえる自然な奥行き感。そして、きれいなボケ。これが得られにくい。
あくまでM型の描写と比べてだが、これを感じるのはやや難しい。発売も古く、センサー画素数も小さいはずのLeica M8のほうが、素晴らしい描写をする。これは主観が入っているものの、単純にライカらしさを求めるのであれば、素直にM型ライカを買うことをおすすめする。Leica X1で得られるのは、サブ機としてのライカである。
パキッと、つやつや
これも描写の好みではあるが、ふわっと柔らかい印象の写真ではなく、パキッと線を出すし、対象物の表面がややつやつやでテカテカに写る。
そのぶん、こうした人工建造物を写すのには向いている。
Leica X1レビューまとめ
残念なポイントをいろいろ書いたが、これから買う人にとって参考になればと思ってのこと。中古で10万円以下で買うことができるライカである。これは間違いなく魅了である。
僕自身も買って大満足。色々なところへ連れて行ったし、軽量と機動性は、他のライカのどれとも差別化できている。ライカデビューの方にとっても、M型ユーザーのサブカメラとしても活躍すること間違いなしである。
使えなくなるその日まで、もう少しLeica X1の描写を楽しもうと思う。
コメント
はじめまして。今さらながらX1も欲しくなってまいりました(笑)同じLeicaユーザーとして、また定期的にお邪魔します!
camemama様
コメントありがとうございます。X1はいい機種です。コンパクト性、携帯性、APSCの描写性能、どれをとっても未だに現役の機種として使えます。M型Leicaとは違った魅力がXシリーズにはあると思います。生産終了してしまっていますし、手に入れるなら今かもしれませんね。
定期的にX1の作例も上げますので、今後ともよろしくお願いします!