【レビュー】Leica M9を、2020年のいま選ぶべき5つの理由

Leica M9
Leica M9 デジタルライカ
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Leica M9。それは、2009年の9月9日に発表されたデジタルライカ。

発表から10年以上が経過し、M型ラインナップはすでにLeica M10まで歩みを進めてしまっているが、各モデルごとに確かな個性が存在し、型落ちになっても腐らないのがライカの魅力。M9も例外ではない。

M9以外に、M8、M10の三台のM型デジタルライカを保有する私の印象でいうと、解像度バキバキの最新&優等生デジタルカメラがM10。M8はハイキー得意なホームランを狙う暴れ馬。

M9はその両者の間に立ち、現代的な側面を持ち合わせながらも、一方で感性に訴えかける機械仕掛けのレトロ写真機という印象である。

そんなM9を、2020年の現代であえて選ぶ理由を書き記してみよう。

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理由① Kodak社製CCDセンサー

M型デジタルライカ初の35mmフルサイズ・センサーを搭載したことが特徴のM9。Kodak社と共同開発されたCCDセンサーが採用されている(M8はAPS-Hサイズセンサー)。以降のM型デジタルのラインナップでは、フルサイズセンサーは標準装備となるのだが、M240、M10ともにソニー社のCMOSセンサー。

つまり、Kodak社製のカラーCCDセンサーを搭載したのはこのM9が最初で最後のモデルとなる。補足すると、M-EはM9の廉価版なのでM9と同等であるといえるし、初代モノクロームは名のとおりモノクロCCDである。

このカラーCCDセンサーが生み出すコクのある独特の画作りは、他のM型デジタルライカのどのモデルとも異なる。そのため、M9でしか得られない描写に、未だに多くの根強いファンが存在する。最新のLeica M10の色づくりも、M9をもとにチューニングされたという。ライカ社も公式見解で述べている。

多くのユーザーからライカM9のような画質表現を望む声を聞いています。そのためライカM10を開発する際に、ライカM9の色表現を再度分析をして、ライカM10のセンサーでも再現できるようにチューニングをしました。 引用元: KASYAPA ライカM10 インタビュー【後編】

しかしながら実際に、M9とM10の両者を比較してみると、似て非なるものと感じる。コクがあるというか、絵の具のような粘り気があるのがM9の特徴。絵画のような色彩というべきか。M10ではこうした良い意味での破綻がなく、より現実に見たままに写るよう調整されている。どちらが良いかは好き好きなのだが。

Leica M9 Elmar L50mm F3.5

画素数は、1,800万画素。最新のデジタルカメラのスペックと比較すると、物足りなさを感じてしまうが、そんなの関係ないといえるほど、情緒的かつザ・ライカな雰囲気を醸し出す。どこかノスタルジック。これがとても良い。

また、人肌を写すにはM10よりM9。

これはソフトウェアの問題なのだろうか。M10の場合、JPEG書き出しすると、緑色がかかったゾンビのような色味になったり、青みがかった不健康な印象になることが、しばしばある。それに比べてM9の色づくりは人肌がとてもきれい。ポートレートはM9で撮ると決めているプロの方もいるようだ。

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理由② ブラックペイント仕上げ

外装仕上げの「ブラックペイント」も特筆すべき点。欧米やヨーロッパでは傷が目立ちにくい「ブラッククローム」が人気らしいが、日本はブラックペイントが根強い人気。M9は日本で人気のブラックペイント。このブラックペイントは、使っているうちに外装の塗装が剥げ、地の金色の真鍮がむき出しになる。これが実にかっこいい。ちなみに最新のM10では、ブラッククローム仕上げが採用されている。ドイツ本国のある欧州の民意なのだろうか。

塗装が剥げるなんて、日本製のデジカメならクレームものだろうが、さすがはライカ。人々がこれを「エイジング」と称して肯定するのだから面白い。自らの手で、角をヤスリで削るオーナーもいるというから驚きだ。剥げは、まさに自分用ライカとして勲章なのである。数十万円もするカメラをこうした形で楽しめるのも、Leica M9の魅力ではないだろうか。

あとは、地味なポイントだが、M240 以降でオミットされた採光窓があること。これがフィルムっぽくて、デジタルカメラとしての進化の途中といった可愛らしさを感じさせる。デジタルになりきれていない写真機っぽくて良い。

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理由③ シャッターフィーリング

シャッター音と分離シャッター。まずは、シャッターを切ったあとの「ジー」という巻き上げ音。これについては、好き嫌いが大きく分かれるが、個人的にはレトロっぽく聞こえ、心地よくとても気に入っている。M8では爆音だったものが大きく改善され、音量は上品に抑えられている。

そして、最新M型ライカでは省略された分離シャッター。この分離シャッター機能があるおかげでM10よりも低速シャッターの手ブレが抑えられる(気がする)。最新モデルではダイナミックレンジが劇的に向上し、低速シャッターを使う機会が少なくなったためなのか、分離シャッターの機能は省略されている。個人的には、ぜひとも残してほしかったところ。電子制御だけなのでアップデートで復活しないのかしら。ちなみに、分離シャッターでの「コトッ」というシャッター音は、他のどの最新デジタルライカよりも静か。(そのあとジーという爆音が鳴るが。)

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理由④ 起動の速さと携帯性

起動の速さと携帯性も特筆すべき点。スリープモードからの起動の速さは、最新モデルと比較にならないくらい爆速。以降のM型モデルでは、起動後にメモリーカードを読みに行くプログラムが実装されたようで、2秒ほど待たされる(体感では5秒くらいに感じる)。

Leica M9 Elmar L50mm F3.5

アンリ・カルティエ・ブレッソンなどの偉人たちを真似て、決定的瞬間のためにレンジファインダーを採用しようとするなら、M9以前のモデルにすべき。CMOSセンサーを搭載したM240 以降のモデルでは、上記理由からスナップシューター的な使い方はおすすめできない。たかが2秒と思われるかもしれないが、M10で決定的瞬間を逃した回数は、通算するとかなりの数に上る。

Leica M9 Elmar L50mm F3.5

また、携帯性は、その軽量さにある。M10が 本体660g、M240が 本体680g。レンズを装着すると1kgに肉薄する。それでもライカは日本のデジタルカメラに比べると十分軽いのだが、M9は本体わずか580gと群を抜いて軽い(M9-Pは本体595g)。フルサイズM型最軽量。得られる画と軽さとのバランスを鑑みると、全デジカメでみてもトップレベルで、高パフォーマンスなのではないだろうか。

私は最近だと、沈胴Elmar L50mm F3.5と組み合わせることが多いのだが、この場合わずか690gである。

沈胴させた場合、ほぼフラットになるのでカバンのなかでも嵩張ることなく持ち運びにも非常に便利。沈胴は推奨されていないが、私は問題なくできている。

※ 注意:沈胴式オールドレンズをデジタルボディで沈胴させることはシャッター幕を傷つける可能性から推奨されておりません。必ず自己責任のもと行ってください。

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理由5 かっこいい

ただカッコいいから。以上。

Leica X1+クローズアップレンズ

つべこべ言わずに、ライカがカッコいいから。

M10とは違う機械仕掛けの魅力がある。これだけで購入する理由は十分だ。

M9 Summicron M35mm F2.0 ASPH
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Leica M9の弱点

これまで魅力を伝えてきたものの、M9は10年以上も前のデジタルカメラ。当然いくつか弱点が存在する。それについてもきちんと触れておきたいと思う。

弱点① 夜間撮影

M9は高感度に極めて弱い。ベースISO160、実用での最大ISOは400(最大ISO2500)。夜になったらズミルックス以上の明るさのレンズを持っていなければ、あきらめる。つべこべ言わない。この割り切りと、潔さがフィルム時代っぽくて良い。逆に割り切れないと思うのであれば、追加軍資金を準備して最新デジタルM型ライカにしておいたほうが、後々幸せになれると思う。

夜の三越
「夜の三越」Leica M9 エルマー50mm F3.5

頑張れば、F3.5でも止められないことはない。

ネオン光線
「ネオン光線」Leica M9 エルマー50mm F3.5

撮れないのなら、あえてシャッターを開くという考え方もある。

弱点② 背面液晶

M9の背面液晶、これはもはや飾り。ガラケー時代の写メの画質。撮れているか、撮れてないかの確認さえできれば良しと考えよう。そもそもフィルムでは確認さえできないのだから、見れるだけありがたい。

露出アンダーかオーバーかのチェックはできる。

上記で紹介した作例を液晶で確認したもの。液晶ではピントが合ってるかも確認できない。

弱点③ ボディの厚さ

デジタルM型ライカのM8、M9、M240が嫌煙される大きな理由。フィルム時代より数ミリ増したボディの厚み問題。これは個性と捉えるしかない。大丈夫、弁当箱といわれたLeica M5よりは小さい。

あと、M10を併用する身として感じるのは、ケースを付けてしまえば、ボディの薄い/厚いは結構あいまいになる。もちろん種類にもよると思われるが。

弱点④ M9という表記

無印M9を選ぶと、ボディ前面にライカの赤丸に加え、”M9”という主張を周囲にしてしまう。M6以降で採用され、新たな伝統になっているが、嫌な方はM9-Pを選ぼう。ちなみに私のM9は無印のため、パーマセルテープで隠している。ちなみにM10ではナンバリング表記は廃止された。

弱点⑤ バッテリー

正直、上記4つが差し当たって問題になることはないのだが、クリティカルなポイントとしてあるのが、電池のもち。こればかりは最大のマイナスポイント。

M10が日中、充電なしで撮り続けられるのに対して、M9ではサブを合わせて電池3個+チャージャーを携帯するという運用がデフォルトになっている。バッテリー予備は必ず持ち歩きたい。以前、高尾山に登った際に、ふもとで電池切れし、その後の登山道中で終始重りと化したという苦い経験がある。本体は軽くても、荷物は増える。実に悩ましい。

また、電池残量ぎりぎりのところで撮影を続けて、バッテリーが切れてしまった場合、SDカードへの書き込みで不具合を起こす。おそらく他の写真を保護するためと思われるが、最後に撮った写真が保存されていないという事象が発生する。

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M9について総評

以上、M9について述べてきたが、まとめると間違いなく、素晴らしいカメラである。他のM型デジタルをお使いの方も、まだライカを触ったことがない方にもぜひ一度は使ってみていただきたい。

Leica M9でしか撮れない写真がある。

先日、ライカ社より先代「M8」の公式サポート終了のアナウンスが出されたことが衝撃的であったが、電子基板や部品を多用するデジタルカメラの宿命であるといえる。M9は2020年現在、まだ交換部品のサポートが続いているとはいえ、すでに発売から約10年。決して他人事ではない。

M8とM9の発売時期から逆算すると、2022年ごろにサポート終了してもおかしくない。気兼ねなくM9を使えるのは、もうすでにあと少しなのかもしれない。実際、状態の良い個体も減ってきており、中古価格も1年前から比べてこのところ高騰し高止まりしている。

Leica M9 Elmar L50mm F3.5

そうであれば、ベストな買い時は2020年、今しかないのかもしれないと思う。

あえて最新のM10ではなく、M9を選び、今後数年かけてエイジングを楽しむ。これが最高に洒落ているライカのある生活なのではないだろうか。

最後に補足 中古購入の注意点としてセンサー剥離問題

M9のKodak社製CCDは、センサー剥離問題を抱えており、中古で購入される際は「センサー交換済み」と記載のあるものを。記載が一切ないものにもご注意を。安いからといって飛びついてしまうと、実はセンサー交換前のもので、後々多額の追加出費がかかることになりかねない。中古購入は自己責任で。 参考URL:ライカ公式HP

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