フィルムとデジタル。どっち持ち出すか問題
M3にするか、M10にするか。これにはいつも頭を悩まされる。
台湾旅行やタイ旅行も葛藤の末、フィルムを諦め、M10+Summicron 35mm F2.0 A.S.P.Hという軽量スタイルで出発した。
フィルムの質感は好きだし、ハイキーに飛び気味なフィルム写真は絵画的・情緒的な良さがある。そして、ライカといえば、フィルムという歴史的な重みもある。
機械仕掛けのM3、M2あたりは一度手に入れてしまえば、半永久的に修理が可能だし、発売から60年以上経過した今も現役で使うことだってできる。アンリ・カルティエ・ブレッソンやソール・ライターが撮ったフィルム作品を見ると、とても心動かされる。
その傍ら、フィルムを語る上で、価格の高騰は外せない。
昨今の価格の高騰の煽りを受け、現像代 +フィルム代はカラー36枚枚撮りに対して、2000〜3000円のコストがかかってくる。これは不可逆的で、フィルム価格が安くなることは、この先もう考えられないだろう。先日、M10の撮影枚数が10,000枚を超えたが、これを上述の方程式に当てはめると55〜83万円を費やしたことになる。奇しくもちょうど中古のM10の価格くらいだ。
また、コロナウィルスによる緊急事態下においては、多くの現像所がクローズとなってしまい、私の手元にも現像待ちのフィルムがいくつもあるという問題にも直面した。
こうしたことを考慮すると、デジタルカメラというのは、いろいろと便利なアイテムだとつくづく感じる。
さて、前置きが長くなったが、言うまでもなくフィルムにはフィルムの、デジタルにはデジタルの良さがある。ならば、デジタルでフィルムっぽい表現ができれば最高だなと思い、いろいろと試してみたところ「Leica M9」+「Elmar L50mm F3.5」がなかなか良いんじゃないかと思い、今回紹介させていただきたいと思う。
Leica M9 + 沈胴Elmar L50mm F3.5の組み合わせ

デジタルボディとオールドレンズの組み合わせがイカス。
最新ボディ+レンズの組み合わせもかっこいいが、このレトロ感がなんともたまらなく好きなのである。
そして、なにより、得られる画もすばらしい。
いくつかの作例をご紹介しようと思う。
Leica M9 + Elmar L50mm F3.5の作品紹介

まずはこちら、逆光に向けて撮った作例。
いかがだろうか。
これは極めてフィルムっぽい描写ではないだろうか。
オールドレンズの逆光耐性の弱さが、雲の質感と、手前のタワーのにじみ感となりフィルムっぽさを醸し出している。

次に公園の滑り台。
写りすぎず、どこかに懐かしさを覚えるフィルムライクな描写。明らかに他のデジタルカメラでは得られない、感情に訴えかける物悲しさを感じる。
これがLeica M9の画作りと、オールドレンズElmar L50mm F3.5の描写である。

こちらも、実にフィルムっぽくないだろうか。
淡い色味とボケ。そして、オールドエルマーの色にじみ。手前の街灯の質感なんか良い。

空のハイキーが、フィルムっぽい。

エルマーでもちゃんとボケる。それでいて、ジャスピンの解像感はかなり高い。

フジのPREMIUM 400を彷彿とさせる。

モノクロ変換。Lightroomで露出を上げても黒も粘っている。非常にきれいなグラデーションを出すのはライカの魅力。これはJPEGのモノクロ変換しただけだが、後でいろいろ調整できるのもデジタルの良さ。



まとめ
いかがだろうか。写るけど、写りすぎないという魅力。
もちろん、フィルム価格高騰の抜本的解決にはならないのだが、こうした楽しみ方を見つけていくこともライカの魅力。オールドレンズのポテンシャルを最大限引き出すには、やはりライカのボディが必要だと思う。この戦前のレンズと、デジタルライカの組み合わせは、実は現代における名コンビなのではないだろうか。
そしてこのコンビ、何より軽い。2つ合わせて690gという重量感は、M型フルサイズ最軽量。気軽に持ち出せることもあって、最近のおさんぽスタイルはもっぱらM9になりつつある。
ボディとレンズ2つ合わせてのお値段もライカにしてはお手頃なので、デジタルライカのエントリーとしてもおすすめ。中途半端なレンズを買うよりも安く、そしてオールドレンズに振り切っている分、長く楽しめると個人的には思う。
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