やっぱりLeica M9が好き。フィルム感覚が味わえる至極の嗜好品カメラ。2022年レビュー。

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Leica M9
Leica M9とエルマリート

先日、プロの現場にも耐えうるデジタルライカとして「SLシリーズ」の魅力という記事をUPしましたが、その対極に位置するカメラがあります。

それが「Leica M9」です。

連射づまりするシャッター、上げられないISO、見れたものじゃないディスプレイ。

2009年に発売されすでに13年。

型落ちモデルであることを差し引いても、当時の日本製デジカメに比べて、スペックで劣るデジタルカメラです。先日、当サイトの描写検証シリーズ企画でも、かなり個性的な色表現をするユニークな機種であることを取り上げました。

そんなLeica M9。

2022現在も中古市場で値上がりを続け、いまや40万円オーバー。入荷しては即売り切れ、という状況が続いているようです。

もちろん中古という特性上、優良品が不可逆的に減り続けるのは常ですし、持っているひとが手放さず流通しないという構造で、ますます希少性が上がっていると言えます。

が、それでも、いつ壊れるかも分からないこのカメラが、ここまで人々を魅了して、惹きつけるのには、一体どんな理由があるのでしょうか。

私は、ライカの中で随一の趣味性の高さがLeica M9にはある、と感じています。

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極めて趣味性の高いクラシックデジカメ「Leica M9」

趣味性の高さ、とは一体どういうことでしょう。

まず、ディスプレイでの確認が怪しいうえに、連射が(ほぼ)できないということ。それはつまり、撮影に慎重になる必要があるということです。

加えて、ISOも実用感度「640」程度までしか上げることができないため、シャッタースピードを下げ、正確にピントと構図を合わせ、がっちりホールドしながら写真を撮ることを求められます。

1枚1枚に魂を込めてシャッターを押さなければならない。

ここに、Leica M9の真髄があると思うのです。

これは、カメラが勝手にフォーカスしてバチピンの写真を量産してくれる現代カメラのような感覚ではなく、撮影者が自ら「どんな表現をしたいのか」という意思を明確に持ち、マニュアルでシャッターを押すという「技量」が求められます。

それはまるで、クラシックカーを操る感覚に似ています。クラシックデジカメというべき感覚です。

「オマエはわたしを使いこなせるのか?」と、使い手の実力を試しているかのようです。

この扱いづらさが、マニアな心を揺さぶります。

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被写体に向き合うカメラ

そしてまた、写真を撮る「呼吸」も大事です。

被写体にしっかりと向き合い、ファインダーで構図を取り、シャッターを押す。この一連の所作に対して、丁寧に向き合うことを求められるカメラ、それがLeica M9です。

当然レンジファインダーなので、一眼やミラーレスのように「ボケ」のイメージを視覚的に確認ができません。自らの経験から、頭の中でボケを想像し、構図の配置を決めなければなりません。

そんなLeica M9を使って、写真を撮る感覚はまるで、マニュアルのフィルムカメラを操っているかのようです。

その一方で、現像にコストが掛からないというデジタルの利点があり、ちょうどフィルムとデジタルの真ん中にいる、ハイブリッドなカメラです。

被写体に向き合い、呼吸を整えてシャッターを押す。

自身が撮るという行為にとことん向き合い、好きなものを撮りに行く。こうした一連の流れがLeica M9がもつ趣味性の高さであり、根強く人々を魅了する理由だと思います。

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持っているだけで気分を上げてくれる、真鍮のカタマリ感

Leica M9 黒バッジ
Leica M9 

そしてこのLeica M9。忘れてならないのが、真鍮製のブラックペイントだということです。

使っていると塗装が剥げ、中の真鍮製の素地が露出してきます。黒色ボティから、金色がチラ見えする。これが渋くてなんともかっこいい。モノとしての経年変化、エイジングを楽しむ感覚も男心をくすぐります。

鍮製の金属のカタマリ感は、持っているだけで手に馴染み、気分を高めてくれます。自分色に染まっていくLeica M9を、なかなか手放せないのも納得です。

写真を撮るという一連の所作が楽しいというのは勿論、モノとしての高級感・満足感を備えたカメラなのです。

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最後に、Leica M9の作例をご紹介

Leica M9で撮った作例をいくつかご紹介します。

やはり色表現が独特なこのカメラ。彩度高めに出ることから、カラフルな被写体を収めると、とてもおもしろい作品ができあがります。

Leica M9
Leica M9 Apo-Summicron M50mm F2.0
Leica M9
Leica M9
Leica M9 Summicron M35mm F2.0 ASPH

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まとめ

いかがでしょうか。

Leica M9は、使い手の技量が求められるフィルムのようなカメラです。

発売から13年を迎え、使えてもあと数年でしょう。値段が高騰を続けており、なかなか手が出しづらい状況になっていますが、気になっている方は使える個体があるうちに、試されることをおすすめします。

Leica M10よりはるかに使いづらいですが、撮るための一連の行為が楽しく、持っているだけで愛着の湧くカメラ、それがLeica M9です。

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